icon-plane日本は変われるのでしょうか? 立花聡氏インタビュー

日本は変われるのでしょうか? 立花聡氏インタビュー

マレーシアインターナショナルスクールツアー

最終回です。立花氏インタビュー、非常に心が晴れた気持ちになるお話が多く、個人的にとっても元気が出ました。内容はどれも悲観的ですが、悲観的と理解する事が大切で、理由もなく元気を出す事を強要されるよりも、前向きな気持ちです。最後は日本とマレーシアにまつわりそうなお話を様々伺ってみました。

前回の疑問:グローバルの定義について

第2の疑問:日本のメディアとそこから派生した話

最後の疑問:日本とマレーシアの違い、教育とか色々

中村:戦争以外で国が変化出来るとすれば、教育を変えるしかないと思いますが、現状日本の政治や教育を動かす方々からは、処理能力の高さ・専門的知識のみを感じてしまいます。政治家の方々は大局観をどう捉えているのか、良くわかりません。例えばマレーシアのマハティール元首相の本を読み、私はマレーシアに来て初めて、価値体系と言うことを意識する事が出来ました。日本のボキャブラリーにそういった概念はないと思うのです。こういうフレームワークがないまま教育改革と言われても、聞こえて来るのはスローガンばかりで、まったく何が起きるのか予想がつかなく、不安です。だれがリーダーシップを発揮するのか、誰がそのシステムを造り上げるのか。

立花氏: マズローは欲求に関して段階を付けています。人間の欲求はピラミッドの様に構成されており、低階層の生理的な欲求が満たされると、より高次な階層の欲求を欲すると言う理論です。人はまず「生き延びたい」と言う生理的欲求があり、そこから安全への欲求、社会的欲求、尊厳欲求、自己実現欲求、段階を踏みながら外的な欲求から内的な欲求へと変化して行きます。日本の場合、国のシステムとして生理的、安全への欲求は満たされやすいのですが、社会的に承認されると言う高次の欲求は満たされにくい環境にあります。社会的に認められにくいがあると何が起きるかと言うと、承認し合い安心すると言う行動が多くなります。安心のために承認し合うのですから、そこに建設的な話しは生まれません。「自分達は悪くない」と集団の自己解釈を進めてしまいます。これはどの業界でも置きている事であり、教育を考える際にも建設的な議論が生まれて来ないのでは、正しい変革は興せないと言えると思います。また、日本の社会では物事の原理原則を話し合わないため、単に新しいものを善、古いものは悪とする傾向もあります。

中村:原理原則がないまま新しいものを追う。これは間違っていても新しい事は良いとすると言う事で、とても怖いですね。教育がそうなっていると言う事は、今ある社会もそういった作りになっていると言う事でしょうか?

立花氏: そうだと思います。日本は戦後、基本的な社会の枠組みをアメリカ、つまりキリスト教から取り入れている部分が大きく、キリスト教の概念では「ルサンチマン」の要素が強い。ルサンチマンとは主に弱者が強者に対して「憤り、非難」などの感情を持つことを指します。例えば日本では「庶民感覚」を善とする風潮があり、それこそがルサンチマンの典型的な形と言えます。弱者の正義。庶民感覚という感覚に善悪はありませんが、それを政治家にまで押し付けては有害となるでしょう。そもそも「庶民感覚」が最終的な総意になり、暴走することで戦争が起きるのですが、国民はその事を良く考えず、スローガンに安易に飛びつくものです。

 教育についても同じ事で、教育の中には社員教育なども含まれて来ると思いますが、ビジネス書などでも幹部育成のための原理原則である哲学・技術・芸術について指南している本は少なく、ほとんどがサクセスストーリーばかりが取り上げられ、失敗を糧に生存力を高めて行くような教育は見当りません。加えて言語により外国との互換性も低いため、社会が閉じられている事もあり、馴れ合いによって社会の拡張性は失われて行くでしょう。

中村: なるほど。とても話しが整理された気がします。こういった一連の問題を立花氏から伺ってみると、やはり気になるのはマレーシアの事。マレーシアは日本に比べて非常にインターナショナルに見えます。話しが飛び飛びで申しわけないのですが、私が問題に思う1番のポイントは、メディア・教育云々と言うよりも、日本のインターナショナルへ向かうためのノウハウのなさ、拡張性のなさなのかもしれないです。自分よりもスペックがよほど高い人が、海外でうまく活躍出来ていない苛立ち。スペックが高いのに拡張性がないのでは、インターナショナルな場では、全く使えません。ちゃんと拡張すれば、日本人なら外国で何かしら寄与出来ると思うのですが。その点マレーシアはとても戦略的に思えます。国に他民族を抱えているが、アメリカの様に「Be One」の圧力を感じる事も全くないです。結果、各民族はメインランドへビジネスを展開し、マレーシアに寄与する。マレーシアに住んでいる他民族同士は話し合いが上手だが、互いの事や文化には不可侵である。長年かけて「わかりあえない」と理解した結果が今のマレーシアの体系なのかなと。この部分は日本人も、国際化に向け勉強する部分が沢山ありそうな気がします。

立花氏: マレーシアの他民族社会の共生のありかたは上手だと思います。例えば共生する上で、「融合」や「統合」と言う言葉は響きが良いのですが、人間の信条や理念から形成されている世界観や価値観を、違う国・環境で育った人と共有するのは非常に難しいのです。マレーシアは共存・共生と言う意味で長い歴史とノウハウがあり、共生と言うよりも「棲み分け」と言う形を取っていますね。揉めないためにお互い共存するが、価値観に関しては理解が難しいので不可侵でやって行きましょうという事です。価値観は生活にまつわる衣食住すべてから来るもので、細かい摩擦を避けるために棲み分けをしている形ですね。

中村: そうですね。棲み分けの考え方は、マレーシアに来て初めてわかりました。カナダにいた時はカナダ人みたいに振る舞わないと。と何故かそう思っていました。たしかにその国の人らしく振る舞い、コピーする事も大事ですが、外国に出る際には様々要素の違う人と付き合う必要があり、場面場面をサバイブしていくためには、スペックや同族よりも「希少性の高い人材」である方が大事そうです。そういう意味でマレーシアは民族単位で希少性の高い人が多く、日本よりは品質面では劣るものの、コミュニケーションを主軸にした戦略面ではだいぶ先輩に見えます。

立花氏: マレーシアでは住まいのエリアによって人種が別れています。見えない壁があると思える程それはハッキリしていますね。日本では壁がある事は単に良くない事だと考えてしまいますが、マレーシアでは見えない壁が歴然と存在しているし、そのお陰で民族同士は深刻になるまで揉めない。また視点を変えてみると、それぞれの価値観にあった拠り所が沢山あるとも言えるでしょう。自分の好きな拠り所が様々選べる。非常に多様的であり、参考になる点が多いと思います。

中村:ありがとうございます。今回はテーマを決めて質問するべきでしたが、実際自分が整理出来ない事を、立花さんの力を借りて言語化、そしてスッキリしちゃおうと言う主旨でお邪魔したため、とりとめのない結末となってしまいました。しかし個人的には自分が何を考えていたかがまず整理で来た気がしてとても嬉しい&楽しい時間を頂戴しました。是非また近いうちにお話をさせて下さいませ。ありがとうございました!

とても充実した時間を過ごさせて頂きました。こういう話しを日本でする事はほとんどありませんが、とても勉強になったし、とにかく楽しかったのです。今はメディアと言っても整った話し、結果ありきの話ししか中々出せませんが、まとめない話も実は大切だと思います。これから私達はどうサバイブするんだろう?少なくとも学が全くない私は立花氏と出会えた事で、やはり成功者でも、理念や哲学のない経営者は外国では相当怪しいそうなので近づかない様にしよう。と思った次第です。何日でも話し続けられるな。そう思ったありがたい機会、ありがとございました。

 

【立花聡氏プロフィール】

華東政法大学 法学博士 復旦大学法学院 法学修士 中欧国際工商学院 経営学修士(MBA) 早稲田大学理工学部卒。トステム(現LIXIL)東京本社勤務を経て、英国ロイター通信社に入社。1994年から6年間、ロイター中国・東アジア日系市場統括マネージャーとして、上海と香港に駐在。2000年ロイター退職後、エリス・コンサルティングを創設、代表兼首席コンサルタントを務め、現在に至る。 2007年中欧国際工商学院(China Europe International Business School)経営学修士号(MBA)取得。2008年復旦大学法学修士号取得。2013年華東政法大学法学博士号取得。 2007年から講演1500時間超、延べ受講者数1万3000人以上、中堅育成「立花塾」卒業生120名超、業界トップの実績を誇る第一人者。 <研究・担当分野> 中国労働法、ベトナム労働法、人的資源・組織行動、国際比較経営。 <著書>『最新実務解説 中国労働契約法』(董保華・立花聡、中央経済社)

エリス・コンサルティング http://www.eris.asia/

立花聡オフィシャルブログ http://www.tachibana.asia/

押して頂けると励みになります。┌(゚ロ゚)┐ よろしくお願いします\(゚ロ゚)/ にほんブログ村 海外生活ブログへ ☆Maticfm動画アーカイブを開設しました。チャンネル登録も併せてよろしくお願い致します。 http://www.youtube.com/watch?v=xEdv9-RTaMs 【Matic.fm JOM MALAYSIA】毎週木曜日 Radio :  http://tunein.com/radio/Maticfm-s252668/ JOM MALAYSIA by Fumiko    12:00pm- Japanese ☆時間がないビジネスマンのためのビジネスネタ「MM拾い読みニュース」はこちらから。 http://www.malaysia-magazine.com/news/ ☆マレーシアマガジンTOPページより、フェイスブックファンページにイイネ! をクリックして頂けますと、マレーシアマガジン最新情報をご覧頂けます http://www.malaysia-magazine.com/

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*