マレーシアのインターナショナル・スクールには毎年、たくさんの日本人親子がやってきます。親の仕事でくる人、英語のための留学でくる人、それぞれですが、2−3年で別の国に移動したり、日本に帰ったりする人も少なくありません。今回、マレーシアからシンガポールの日本人学校へ移動する美菜子さん(仮名)が「小学生留学の難しさ」を語ってくれました。
美菜子さんは、2014年に息子さんを連れて来馬。きっかけは、マレーシアで開催された英語のサマースクールに参加したことです。スクールは楽しく、マレーシアに好印象を持ちました。
当時は仕事で忙しく、子供との時間が取れない毎日を送っていました。「お金を渡されて子供はゲームと塾の日々。これでいいのかな、といつも思っていました」
模索した結果、マレーシアに仕事を見つけ、親子でやってきました。
自身もかつて外資系企業でキャリアを積んでおり英語が堪能です。「これを機会に世界のどこでも生きていける子になってほしいと思った」と言います。
来馬した時、お子さんは小学校5年生。最初の学校は国際色豊かで楽しそうでしたが、規模が小さいのが気になりました。「社会性が身につかない」と判断し、現地の中華系に評判の良い学校に転校しました。
「今思えば、学校選びも間違っていたかもしれません。転校した学校に通うのはお金持ちの子が大半で、大人しい優等生的な子が多かったのです。最初の学校の先生にも『その学校は合わないよ』と言われました。音楽は盛んでしたが、もっとスポーツ系のアクティビティの多い学校を選べばよかったかな、と思います」
新しい環境で、子供はだんだんとストレスが溜まっていったと言います。
美菜子さんは、優等生の多い学校特有の授業の難しさで、子供の自己肯定感が下がってしまったと分析します。
「成績がいつも10点とか20点ですから、本人としては納得がいかなかったのでしょう。自分はできないと苦しむ日々。学校に行きたくないと言って休んだこともあります」
マレーシアでも塾に入り、勉強についていくのに大変な日々が始まりました。本人の頑張りもあり、だんだんと成績も向上。最後にはクラスの上位に入るようになり、頑張ってケンブリッジのエッセイコンテストで金メダルを取るまでに。
「その時は、クラスメートがみんな驚きました」と振り返ります。
もう一つ、大変だったのが、日本からの環境の変化でした。
「マレーシアは車社会で、街を子供だけで歩くことができません。自転車を飛ばして友達の家に遊びに行けるわけじゃないですよね。それから、クラス全員で一丸となって何かをする、ということもない。それから日本に特有のキツイ言葉でやりあうような文化もないですよね。日本の学校に慣れた子には、そういうのが物足りなくなったようです」
美菜子さんは転職をきっかけにシンガポールに移動することに決め、現地ではお子さんを日本人学校に入れることにしました。シンガポールはマレーシアと元同じ国でありながら、治安が良く、外を普通に子供が一人で歩くことが出来る国です。
「こちらに来る方はいろいろなバックグラウンド、子供の個性を抱えていらっしゃると思います。私もその1人。子育ては人それぞれ、答えはない。だだ、母親になって痛感しているのは『いつも子供に教えられている』ということ。そう感じながら、腹立ち、もがきながら、感謝しながら子供と向き合っています。欲を言えばきりがありませんが、最悪、生きてるだけで丸儲け、なんですよね、本当に。だから、この後どうなるか親子共々わかりませんが、何とか生きていきます。その術だけは教えていきます」と話してくれました。
マレーシアに自分の意思で来る人は行動派が多く、「この道じゃない」と思えば方向転換も早いです。それでも息子さんは基本的な英語がわかるようになり、将来の夢も見つけ、日本の良さにも気づくことができました。
環境の違うところに来て、帰ることを決断する人たちのエネルギーと勇気にはいつも圧倒されますね。
ありがとうございました。
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