icon-plane 「授業で話さない先生」が評価されるオランダの教育とは

「授業で話さない先生」が評価されるオランダの教育とは

マレーシア教育とオランダの教育

 

教育のために移住するーーそんなライフスタイルが増えてきました。その先駆者である藤村正憲さんは2002年より北京、香港、マレーシア、オランダと移動し、「国際自由人」としての生き方を追求してきました。2013年、お子さんの教育のためジョホール・バルのマルボロ・カレッジに日本人第一号として入学。のち2015年、オランダに移り住まれました。マレーシアからオランダに移って3年目になる藤村さんに、マレーシアとオランダ、二つの国の教育について聞きました。

 

選択肢が豊富なオランダの公教育

ーーオランダの学校教育は非常に評価が高いですが、実際に住んでみていかがですか。

オランダの教育はマスコミで取り上げられることも多いのですが、もちろん良いところ、悪いところ両方があります。ただ一言で言うと成熟した国。何より教育にも選択肢がありますね。公立学校でも校長の意思が反映される学校運営がされ、学校ごとに個性が違います。スポーツが盛んなところ、芸術が盛んなところ、自由があるところ、などさまざまです。「移民が全くいない学校」を選ぶことも「移民が多い学校」を選ぶこともできるのです。

 

ーー授業の方式にはどんなものがあるのですか。

例えば、その日に勉強したい内容を子どもに決めさせる学校があり、そこでは生徒それぞれが違う教科を同じ授業時間内に学びます。イエナプランなど、違う学年が混合のクラスである学校もあります。オランダでは、生徒同士で教えあうことも多いです。

 

ーーお子さんはオランダ語で学んでいるのでしょうか。

息子はオランダ式のインターナショナル・スクールで英語で学んでいます。オランダの一般的な学校ではオランダ語が必須です。とはいえ、英語も皆流暢ですし、ドイツ語も理解できる人が多い。小学校での英語は会話を中心に学びます。「まず話せるようになるべき
」という考えです。ただ、オランダのような非英語圏への教育移住は語学が必須のため、英語圏とは違うハードルがあるなと思います。

 

先生が「授業で話さない」ことが評価される

 

ーーオランダではどんな教え方が主流なのでしょう。

先生は「できるだけ授業で話さないこと」が評価されますね。先生が知識を伝えるために授業を行うのではなく、生徒たち自身の学びを見守っています。オランダの教師は大学でコーチングを学ぶのです。学校を卒業し社会に出ると、授業というものは無くなり、自ら自身に必要な知識を学んでいく姿勢が必要になりますよね。

 

ーーマレーシアの欧米式でも「先生が教えない」学校が増えています。マレーシアからオランダに移ったポイントは?

 

本物に触れるというのがキーワードでした。家族でオランダに視察に行った時に、国立美術館でスポーツしか興味のなかった息子が、ゴッホの自画像をじっと見て、ホテルに戻ると一時間半くらいかけて模写したのです。私も妻もびっくりしてしまって。オランダの美術館は絵画がガラスに覆われていなくて生で観れますし、オランダ人のゴッホの絵をオランダで見たことが、息子の何かをインスパイアさせたのかなと思って住んでみようかなと。

 

ーースポーツはいかがですか。

以前はいろんなスポーツをやっていましたが、今はサッカーに集中しています。遠征などで近隣諸国に行くこともあり、ヨーロッパにいると世界中の選手が視野に入るので、刺激を受けているようです。

 

ーー練習量は多いのですか。

それがそうでもないのです。サッカーのコーチは、日本人は練習しすぎだと言いますね。オフシーズンを作って、しっかり体を休ませる必要があるのではと言われました。また、子供でも寝る時間が遅く身長が伸びないのではないかと。オランダの子供は8時過ぎにはベッドに行きますからね。

 

ーーオランダに来て、お子さんに変化はありますか。

子供の性格がハッキリしてきたというか、自分の意見を反対意見も含め意思表示するようになりました。マレーシアにいたら、まだ無邪気にじゃれ合っていたかもしれないなと思うことはあります。

 

海外子育てでは学校を取り巻く社会も非常に重要

 

ーーオランダの子供達を見ていて感じることはありますか。

オランダは「子供の幸福度世界一」と紹介されるくらい子供が楽しそうに過ごしています。オランダ人を見ていて思うのが、「自己肯定感」の高さです。できる自分、駄目な自分、全て合わせた自分を大好き。自己否定など縁がなさそうです。日本では謙遜もあり基本的に「私なんか・・・」と言いますが、それがない。

 

海外子育てというと、教育制度ばかりを見ることが非常に多いですが、実際に海外で子育てを実践してみて、家庭や、社会も非常に大きく影響していると思うようになりました。どんなに良い学校に通っても家庭や社会が抑圧的だと、自主性を持った子供には育たないでしょう。家庭が自由でも学校や社会が抑圧的であれば、同じように自主性を持った子供には育たないでしょう。

 

ーーオランダは大人の社会も抑圧的ではないということですか。

大人を見ても国民が成熟しているなと感じます。安楽死や自殺の自由、麻薬の合法化などタブーと言われる話題を議論できるのも、国民の成熟度によるところが大きい。人も国も合理的です。こちらでは、子供の頃から個人を尊重して育てるというか、一人の人間として扱います。人として生きる満足度が高いんです。

 

ーー久々にマレーシアを視察されましたが、変化を感じられましたか。

マレーシアも、ダイナミックに社会構造が変わっていますね。今ではインターネットと英語ができれば、どの国に生まれても以前ほどの格差は無くなってきています。10年後、20年後の世界ではさらに各国の差は縮まっていくでしょう。
しかし、英語が自由に使えないと生まれた国や地域、家庭が人生を左右する一因になるでしょう。これからは、生まれた国による格差ではなく、英語力とインターネット、コンピュータスキルによる格差が生まれてくるのだと思います。

 

ーーありがとうございました。

 

藤村さんのブログはこちら。http://fujimura-masanori.com/

 

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