icon-plane 【インタビュー】意外に厳しいマレーシアの規制ーー進出企業へのメッセージ 

【インタビュー】意外に厳しいマレーシアの規制ーー進出企業へのメッセージ 

 

「アジアの時代」と言われるなか、マレーシアにいると毎日のように日系企業進出のニュースを耳にします。実際に日本企業は増えているのでしょうか。また、最近の進出企業にはどういった傾向があるのでしょうか。同時に、いまひとつわかりにくい規制や法律が今どうなっているのか、現地で14年、人材紹介業を行う桜リクルート社 (Agensi Pekerjaan SRM Sdn Bhd) の鵜子幸久社長にお話を聞きました。(聞き手・野本響子)

 

 

ーーここ数年、おなじみの日本企業の名前を随分マレーシアで目にするようになりました。実際にマレーシアの進出企業は増えていますか?
マレーシア進出日系企業の総数は1500社程度で、これは過去15年間同じ水準です。人件費や諸コストがかなり上昇し、諸条件が厳しくなっているので、現実的には低資本のスモールビジネスにはハードルが高く、実際の進出件数は減少傾向に転じていると思います。

 

ーーつまり企業は入れ替わりつつ、実際は減ってるのですか?
比率は非製造業の進出が完全に製造業を上回ってきているので、表面上、増えているように見えるのかもしれませんね。人件費が上がり製造業が周辺他国へスイッチまたは撤退する一方で、現地の購買力に目をつけたサービス業が進出してきたという図式です。

ーー新しく進出する企業にとってはネックは何でしょうか?
事業許認可や就労ビザのガイドラインが厳しくなりつつあることです。わかりやすく言うと、日本人含む外国人は現地のマレーシア人が行っているのと同じ付加価値や技術移転要素のない低レベルのビジネスはやってほしくないということですね。飲食業で例えると、雇用を生み出し日本流の高い技術を根付かせてくれるような高級レストランは歓迎するけど、小さな屋台は許さないということです。マレーシアの事業認可は日本人が思っているより意外に厳しいですし、払い込み資本金の引き上げや、新設された雇用企業のESD登録義務付け(Expatriate Services Division=国外居住者サービス課への届け出)など、就労ビザの取得要件も上がりました。

 

ーー例えば、どんな規制があるのですか?
業種にはそれぞれライセンスが必要です。例えば、物を売ったり飲食店をやるには卸売小売ライセンス、資産運用相談や金融なら金融ライセンス、人材紹介なら職業紹介ライセンス、不動産仲介には不動産ライセンスなど、細かくライセンスが必要です。これを持っていないと管轄省庁から罰せられます。他に、ビジネスライセンス、就労ビザ、GSTライセンス、決算監査、納税、定期株主総会などにもそれぞれ細かく義務規定があり、守っていないと罰則があります。

 

ーー御社の場合はどうですか?
マレーシア国内で有料職業紹介活動を行うためには、その主体の法人が「JTK」という政府認可の人材紹介ライセンスを取得しないといけません。また募集や営業に関しても名義借りではなくJTKを付与された法人自身が広告主・営業主となり番号を明示して行います。法令違反企業には罰金と投獄という重いペナルティが課されています。弊社は14年にわたり、有料職業紹介事業をやっていますが、人材紹介ライセンス(JTK)は国家にとって最も大切な国民を扱うだけに厳しく、ライセンス取得には苦労しました。

 

ーー厳しいですね。
はい。今刑務所で服役している人もいます。毎日まずいカレーは出してくれるらしいですが、ちょっとしたモラルハザードのために監獄に入るなど、まったく割に合わないですよね。
残念なことに、日本人または日本企業がこのライセンスを持たずに、あるいは別企業のライセンスの借用だけをして、営業や広告をしている姿が目に付きますが、結構危険だと思います。また、人材会社に求職登録をされる場合は、その会社がJTKライセンスを持っているか、不利益をこうむらないためにもきちんと確認することが必要ですね。人材会社はライセンス証書をオフィスに設置することになっていますから、求めれば提示してくれます。

 

ーー他に進出企業にお願いしたいことはありますか。
マレーシアから信頼・尊敬されてきた日本人の品格を大切にして欲しいと思いますね。小さな国とはいえど、我々を受け入れてくれているマレーシアを尊重し、小馬鹿にしたり食い物にしたりするような目線は控えていただきたいと思っています。

 

ーーありがとうございました。

記事掲載日時:2017年01月18日 18:26