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マレーシアにICT企業が続々進出する理由

 

マレーシアにICT企業が続々と増えている。マレーシア政府はICT産業誘致を積極的に誘致しており、その成果が現れた形だ。どのような企業がどういう目的で来ているのか、現地でICT企業向けのビジネスコンサルティングを行っているTK International Sdn. Bhd. 代表取締役阿部慎吾さんに聞いてみた。(編集部・野本響子)

 

ようやく賑やかになって来たサイバージャヤ

 

ーー最近マレーシアにICT企業が増えて来た感じがあります。

 

マレーシアはもともと政府がICT産業を発展させるため、積極的に外資の誘致と人材育成を行ってきました。20年前にMDEC(現在のMalaysia Digital Economy Corporation)を設立し、IT特区としてサイバージャヤを作り、それがようやく賑やかになってきた感じです。これまでにMDECからMSCステータスと呼ばれる優遇措置の認可を受けた日系のICT企業は30社以上あると思います。

 

ーー今はどういう企業の進出が多いのですか。

 

マレーシアには3つの段階がありました。まずはMDEC設立当時からグローバル展開しているDELLやHP、日系企業ではNTTや富士通などが進出して、ハードウェアの研究開発拠点やサイバージャヤにデータセンターを作って、IT産業の土台となるインフラを作った。その後、マレーシアに製造業の進出が盛んとなってくると、工場の生産管理や基幹系システムなど、大型のシステムが必要とされる時代があった。最近はコンテンツやアプリケーション、クラウドなどオンライン上でサービスを提供する会社が増えています。最近の進出企業はマレーシアだけを市場と考えるのではなく、グローバル展開する前提でマレーシアを拠点として選んでいることが増えていると思います。

 

 

マレーシアを選ぶのは何故なのか

 

ーーなぜマレーシアを拠点として選ぶ企業があるのでしょうか。

 

マレーシア政府がICT企業の誘致に積極的なこと、マルチリンガル、マルチナショナルで、多言語化しやすいこと。人材が豊富にいること。日本ではIT系の人材は不足気味ですが、技術分野によってはマレーシアのほうが採用しやすい。これらを俯瞰してみたときに、マルチナショナル・マルチカルチャーで、世界展開がやりやすい。イスラム教徒、中国人、インド人がいるので、テストマーケティングにも良い。

 

ーーシンガポールやベトナムなどはどうでしょう。

 

もちろんそちらを選ぶ人もいます。ただし、私が進出を考えたときには、シンガポールはオペレーションコストが高すぎると思いました。ベトナムやミャンマーは安いけど、市場としてはまだ早い段階であったり、インフラが整っていなかったりなど、それぞれ事情がある。ただ、マレーシアでは労働のコストが上がってきているのも事実ですね。

 

 

(出典・MDEC・元のデータはUS NEWSによる)

 

ーーなぜ海外に進出する企業が増えているのでしょう。日本でも良いのでは。

 

クラウドの利用範囲が広がってきているので、ICT企業はどんどん海外に行くだろうと思っています。

 

ーークラウドがあるとなぜICT企業が海外に行けるのですか。

 

かつては物理的なサーバーを持ったデータセンターを自社で作り、そこで作業をしていました。ところがクラウドだと、サーバーはインターネット上にあるため管理する必要がなく、どこでも仕事ができるのです。

 

今までは物理的なサーバーを入れてソフトを入れて会社で動かしてコストがかかっていた。今はクラウドでサーバーを作れるので、物理的なしがらみから解放されます。初期コストが少なくできる。銀行など法令の制限があるところを除いては、今はICT企業はどこにでもいけます。

 

ーーそれで企業の海外展開が加速している?

 

大きなトレンドになっていると思います。最近は、日本でうまく行って、それを海外展開するのにマレーシアに来た会社が多いですね。

 

ーー阿部さんの会社の仕事を教えてください

 

マイクロソフトで営業とマーケティングの仕事をしていました。今は独立し、マレーシアにくる日本の会社の海外展開を支援しています。

 

ーーどんな会社が来ているのですか。

 

アプリを提供している会社が多いです。太陽光発電所のモニタリングサービスとか、勤怠管理のアプリとか、トランシーバーのアプリなどを販売しています。

 

例えば、今一緒に仕事しているディバータという会社はウエブサイトを構築するため「RCMS」を使ったウエブコンテンツのマネジメントシステムを売っています。「RCMS」はWordpressのようなウエブ構築システムで、容易にコンテンツを管理することができます。日本とインドに支店があり、マレーシアで合宿をしていたりしますよ。

 

(合宿中のディバータのメンバーたち)
 

アプリケーションなどのサービスはインターネットで世界中に提供できるわけですが、実際にグローバル展開するためには、誰かが海外にいて、マーケティングや営業活動、料金を回収したりサポートを行う必要がでてきます。企業向けのアプリケーションの営業をしたり、日本の会社のローカライズのサポートをしたりしています。現在準備中の会社も入れると取引しているのは15社ほどですね。

 

クラウドサービスを提供する取引先が増えてきましたので、各社のクラウドサービスをマレーシアの企業で活用していただくためのコミュニティー「Cloud HUB」(https://www.cloudhub.com.my/) を開設しました。今後も日本発のITサービスを東南アジアで展開していきたいと思います。

 

ーーありがとうございました。

 

記事掲載日時:2017年07月10日 22:54