icon-plane 東南アジア的テキトーのススメ 第一回 うつは治る

東南アジア的テキトーのススメ 第一回 うつは治る

 

マレーシアに来てうつ病が治った、という日本人に会うことは珍しくありません。彼らに聞くと、マレーシアの物の考え方、時間の流れ方が良く作用するのだとか。今回から隔週で始まる新連載「東南アジア的テキトーのススメ」の作者もそんな一人。現代人は東南アジアから何を学べるのか、マレーシアにどっぷり浸かった「ちゃらんぽらん王子さん」がゆるゆると綴ります。

 

うつ病の理由は東京の満員電車!?

 うつ病は辛いです。何かモヤモヤとしたものが心の中を這いずってへばりつき、いつも陰鬱。心の病気なので、はたから見ても病気かどうか、周囲は判断がつかず、鬱の初期のころは自分もわからなかったりします。
 私も東京にいた3年間はうつを患っていました。働き始めてから数ケ月して憂鬱な気持ちは増大していき、毎日イライラして暗い気持ちが極度に達したある日、「これはおかしい」と気付き、新宿の心療内科に駆け込みました。
 初診は「午前中に来てください」とのこと。うつ病の人は午後から夜にかけて症状が悪くなる方が多いらしく、気持ちがまだ楽な状態にある午前中に診断するのがいいのだとか。1時間ぐらいの問診で、下された診断は「中度のうつ病」。以後は二週間に一度は通院するように言われ、抗うつ剤など大量の薬をもらい、戦いが始まりました。
 うつの原因はさまざまですが、人間関係などによる過度の肉体的精神的ストレスや疲労が慢性化して発症する人が多いでしょう。しかし、私の場合、会社での人間関係は良好でしたし、仕事は慣れた仕事だったので病気になるほどのストレスは感じませんでした。原因はおそらく東京のラッシュ時の電車だと思っています。毎日往復2時間は、カバンを持たずとも落下しない、文字通りすし詰め状態の電車に乗っていました。これだけでも相当の肉体的精神的ストレスで、会社に着くころにはヘトヘトになるのです。
 うつを発症しても周囲には知らせませんでしたから、表向きは普通にしていました。薬の分量によっては気持ちが耐えられないほどひどくなることもあり、そのときは有給で欠勤か遅刻または早退を選択。出勤しようとしたある日、電車の揺れだけで吐き気をもよおし、クリニックに直行したこともありました。

 

マレーシアに来て数ヶ月でうつ病が治った

 

 もともと海外志向が強く、思い切って海外に出ることをある日決意し、縁あってマレーシアに来ました。来馬直前はクリニックの先生にその旨を伝え、とりあえず一カ月分の薬をもらって飲んでいましたが、薬を飲まず数ヶ月経つとそれまで悶々としていた気持ちはすっかりなくなったのです。つまり、うつが治ったのだと直感しました。
 これは「ショック療法」だったのでしょう。「転地療法」という言い方もあるかもしれませんが、いずれにしても根本的に考え方の違う外国で、日々刺激的で固定観念を覆されることが多く、これが精神的なストレスをふっ飛ばしたのです。
 私が薬に頼らずに完治したのは、おそらくアジアならではの考え方を吸収し、自分の考え方を変えていったからでしょう。日本はとかく固定観念のなかで「完璧さ」を求める社会です。それは国全体の発展にこれまで大きく寄与したことは否定できませんが、一方でそれが逆に多数のうつ患者を生みだす要因にもなっているように思えます。
 「完璧さ」はいいでしょう。ただ、これまでの固定観念を少しでも崩して考え方や意識を少しずつでも変えてみることで、気持ちを楽にしてみませんか。そうすることで、ちょっとずつでも辛いうつは治っていくと確信します。日本とは違う見方で物事を見ることで、考え方が柔軟になり、精神衛生も健全になります。
 日本のうつ病患者は年々増加しています。私の体験談などを盛り込んだこの小さな連載コラムで少しでも患者さんが気持ち的に楽になっていければと思っています。

 

プロフィール
ちゃらんぽらん王子
海外滞在歴約20年。東京で編集の仕事をしていたとき、3年にわたりうつ病を患っていたが、東南アジアに移り住んで自然治癒して今に至る。現在はマレーシアを拠点。インドネシアやタイ、ヨーロッパにこれまで滞在。

記事掲載日時:2017年07月14日 18:16