icon-plane 東南アジア的テキトーのススメ 第二回 固定観念を打破しよう

東南アジア的テキトーのススメ 第二回 固定観念を打破しよう

 

マレーシアに来てうつ病が治った、という日本人に会うことは珍しくありません。彼らに聞くと、マレーシアの物の考え方、時間の流れ方が良く作用するのだとか。作者もそんな一人。現代人は東南アジアから何を学べるのか、マレーシアにどっぷり浸かった「ちゃらんぽらん王子さん」がゆるゆると綴ります。

 

多民族社会では固定観念が希薄になる

 前回、固定観念を少しでも崩して考え方や意識を少しずつ変えてみることで、辛いうつは治っていきますと話しました。

 

 どの社会にも当然とされている考え方や価値観があります。とくに日本の場合、他のアジア諸国とは違い、社会全体がほとんど日本人でほぼ均一化した社会で、「こうあるべき」という固定観念や常識が強いのです。アイヌや在日韓国人、外国人は多少とも存在しますが、彼らの考え方や価値観は社会全体に大きな影響をあまり与えてはいません。

 

 一方で、ほとんどのアジア諸国は多民族からなる社会です。その典型がマレーシアでしょう。この国はマレー人、華人、インド人などが住み、文化的にも大きな違いがあります。言葉や習慣がまったく違ううえに、民族を超えてイスラム教、仏教、ヒンズー教、キリスト教、シーク教などを信仰し、民族と宗教が入り乱れています。例えば、イスラム教徒は豚やアルコールの摂取が認められていない一方で、ヒンズー教徒は牛を食べてはいけません。

 

 こういった大きな文化的な違いがあること自体が社会の大きな特徴なので、各個人の考え方や価値観も当然違います。ここでは互いの考え方や価値観を排除したり、または統一したりするのではなく、民族や宗教に関係なく、考え方や価値観を互いにそれぞれ認め合っているのです。このため、価値観から発展した固定観念がないとはいいませんが、かなり希薄で流動的なような気がします。

 

衝撃的なタバコの売り方

 

 固定観念を少しでも崩していく上で、アジアから学ぶことが多々あります。アジアの日常生活で固定観念を覆す出来事は枚挙にいとまがありませんが、衝撃を受けた2つをご紹介しましょう。

 

 これはインドネシアでの話ですが、私が初めて訪問してしばらくしてから気づいたのが、タバコの一本売りです。
 日本や他の国でも通常、タバコは一箱単位で販売されています。インドネシアでももちろんこの形で売っているのですが、箱を開けて一本ずつ売るのも普通なのです。町中の通りの片隅に掘っ立て小屋のような小さな商店をよく見かけます。そこの店主はタバコ一箱の小売価格を20本分に割った金額またはそれよりちょっと高い金額で販売。タバコを吸う人にとって一本だけ吸いたいというのはよくあると思いますが、おそらく貧しい庶民向けに「一本だけ」の人のために出てきた発想なのでしょう。おまけに、ライターの使用は無料で、商店の軒先にひもで吊り下がっています。

 

 確かに物理的に考えると20本がすべて売り切れたとき、時間はかかりますが、最低でも小売価格分の金額は確保されることになり店主はバンザイ。買う人も吸いたいときだけ買えるのでこちらもバンザイ。完全にウィンウィンの関係で、合理的な考え方でもあります。この発想はある意味でサービスのバラ売りをする格安航空エアアジアの発想に似ています。

 

衝撃的な駐車場料金の釣り銭

 

 もう一つは、マレーシアで駐車場料金支払い機にお金を入れたときの話です。料金は11リンギだったので、50リンギ札を入れました。すると、支払い機はしばし考えたようで、お釣りがでてくるところをのぞいていると、1リンギ札が1枚ずつゆっくりと優雅に出てくるではないですか。これには唖然としました。マレーシアには5リンギ札、10リンギ札や20リンギ札がありますが、これらが切れてしまったがために機械は1リンギ札をお釣りとして選んだのでしょう。また、1リンギ札が切れてコインが何十枚にもわたって出てきたこともあります。

 

 確かに1リンギ札が出てこようと10リンギ札で出てこようと、最終的なお釣りの額は変わりません。単に大きいお札でお釣りを出せなかったためですが、これも、釣り銭は大きいお札で出てくるものだ、という固定観念を崩した経験でした。ちなみに、この逆で駐車料金を大量の1セントと5セントのコインを入れて詰まらせてた人もいます。

 

 上記2つの例のように、日本では当然の常識や観念が、海外ではほとんど崩されます。固定観念がなくなると、物事に対して柔軟になり、またいろんな見方も身についてくるのです。その一方で、こういった経験をすると自ずと憂鬱な思いも吹っ飛び、気持ちが楽になることも多々あります。精神生活が豊かになっていくと鬱なんかもどこかに消えていってしまうのです。

 

 

プロフィール
ちゃらんぽらん王子
海外滞在歴約20年。東京で編集の仕事をしていたとき、3年にわたりうつ病を患っていたが、東南アジアに移り住んで自然治癒して今に至る。現在はマレーシアを拠点。インドネシアやタイ、ヨーロッパにこれまで滞在。