icon-plane 東南アジア的テキトーのススメ 第六回 うつの薬は本当に必要なの?

東南アジア的テキトーのススメ 第六回 うつの薬は本当に必要なの?

 

マレーシアに来てうつ病が治った筆者による人気コラム。うつのときには大量の薬が必要だったという筆者ですが、マレーシアに来てうつの薬が必要なくなったと言います。なぜでしょうか。

 

日本でうつになると睡眠改善薬や抗うつ剤などいろいろな薬を処方されます。しかし、本当に薬は必要なのでしょうか。今回はちょっとそれについて考えてみたいと思います。

 

日本の過剰な薬の投与

 

 日本に滞在していたころにうつになった経緯については第一回目でお話しました。そのころは二週間に一度は通院し、「中度のうつ」と診断されたためか、文字通り大量の薬をいただきました。多いときは毎日5種類ほどの薬を飲んで、生活しなければならず、ある意味でさらに憂鬱にさせられました。

 

 確かに薬を飲み始めた当初、それまで飲んだことがなかったからでしょうか、かなり改善したような気がしました。睡眠や疲れもある程度とれたのは今でも記憶しています。初めて通院して数回目の診察のときにこのことについて先生に伝えましたが、「完全には治っていないので、勝手に薬を止めないでください」と言われました。つまり、大量の薬を飲み続けろということでした。

 

 それは忠実に守っていましたが、あるとき少し症状がよくなってきたので、先生が薬を減らし、別の薬にも変えてもらいました。しかし、驚いたことに、この次の日に症状は悪化。東京の新宿駅の山手線に乗ることができず、そのままクリニックに向かいました。新宿駅までの電車のなかでも立っていることはできず、ずっと吐き気を催していました。薬を変えるとこんなにまでも変わるのかと本当に驚いたものでした。

 

海外に来たことで薬はなし

 

 さて、そんな大量の薬を数年にわたって投与され続けていた日本での生活ですが、マレーシアに来たときは2週間分だけの薬をもってきました。「薬が切れた後は大丈夫かな」と不安をもちつつ、2週間分すべてきっちりと飲みました。切れた直後も不安ではあったのですが、その後も薬を飲まなくても問題はなく、気持ちのどこかで「治った」との自信が出てきました。
 確かに社会環境がガラッと変わったことが「治った」との自信に結びついたのだと思うのですが、今考えているみると、社会環境だけでなかったと思っています。

 

 マレーシアに来た当時、中心部からかなり遠いところに住んでいました。車もありませんでしたから、毎日電車とバスを使用(マレーシアの場合は車社会ですので、公共交通機関を使うと異常に時間がかかります)。バス停まで歩き、バスに乗って電車に乗り継ぐ。日本では普通の光景ですが、マレーシアでは目的地に着くまでには大変疲れます。中心部で散歩と買い物を兼ねてほぼ毎日のように出歩いていました。これがおそらく、うつを治したのではないかと思っています。

 

セロトニンを自己生成すれば大丈夫?

 

 その数年後に知ったのですが、脳内の神経伝達物質「セロトニン」が少なくなると、うつ病になると言われています。この物質を生成するために日本などではうつ病患者に薬を投与しているらしいのです。このセロトニンは、食事のほか、早寝早起きと太陽光を浴びることで大幅に増えるのだそうです。

 

 食事については覚えていませんが、当時は早寝早起きをせざるを得ませんでした。何せ都市郊外で住んでいる周りは本当に何もなく、夜は寝るしかないのです。そして、明け方ぐらいになるとモスク(イスラム寺院)から祈りを促す声がスピーカーから大音量で流れます。なので、起きざるを得ないのです。

 

 また、太陽光を浴びることはマレーシアでは事欠きません。マレーシアは亜熱帯気候なので日本より太陽の光が強いのです。朝から夕方までほぼ毎日照りつける太陽を浴び、汗ダラダラになりながら散歩や買い物をしたものです。おそらく私の場合はこの太陽光を大量に浴びたことがセロトニンをドバドバ生成させることができたのではないかと思っています。日本の場合は四季があり、秋冬は寒いなかで生活しないとなりません。太陽の日差しもそれほど強くはありません。しかし、マレーシアは一年中夏で暑い。太陽光は一年中照りつけているわけで、少し外出するだけでもかなりの量のセロトニンを生成させるのではないでしょうか。

 

 つまり、マレーシアにいるとうつ病の薬は要らないのです。単純にセロトニンだけを作り出させるのなら、毎日少しでも外出すればそれで事が足りるわけです。マレーシアはうつが治る国だと実感しています。
 ちなみに、マレーシアには心療内科はほぼ皆無です。一部にありますが、日本のようにどこでもあるわけではありません。マレーシアの人たちはうつになることがほとんどないので、クリニックの需要もほとんどないのです。薬に頼れない物理的な制約もあるのが実情です。

 

 

プロフィール:ちゃらんぽらん王子

 

海外滞在歴約20年。東京で編集の仕事をしていたとき、3年にわたりうつ病を患っていたが、東南アジアに移り住んで自然治癒して今に至る。現在はマレーシアを拠点。インドネシアやタイ、ヨーロッパにこれまで滞在。