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マレーシア新政府の公約は実現可能なのか

 

マレーシアの新政権である希望同盟(PH)の選挙公約。なかでも注目が集まっているのが、消費税の廃止だ。公約は実現可能なのか、マレーシアでも議論がある。両方の意見をご紹介する。(マレーシアマガジン=リー・リン)

 

マレーシアの元老議会は、新政権の公約「GST(消費税)を廃止すること」「車両の燃料補助金を再導入すること」が、マレーシア経済に影響を及ぼしないと主張した。「元老議会」は新政権に新たに作られた機関だ。

 

新政府は政権取得後100日以内に10の公約を実現するとしている。GSTと燃料補助金については、国家の総収入が下がり、借金が膨れ上がるのではという懸念がある。これに対し、「元老議会」のメンバーのダイム・ザイヌディン氏は、新政権はきちんと対処する能力があり、経済に影響を与えないと保証した。ダイム氏は、1984年から1991年にかけて財務大臣を務めていた。

 

前政府は2017年にGSTによって約440億リンギを徴収した。GSTを撤廃すると、政府の税収が減る見通しだ。新政府はGSTの代わりに、かつて徴収されたSST(販売・サビース税)を再導入する方針だという。2014年にはSSTで170億リンギの収入があった。その上、新政府は、GSTの廃止が消費者の消費と営業活動を刺激、経済を活性化させるとする。浪費と汚職腐敗をなくすことによって、GST廃止などの衝撃を和らげるように狙う。

 

1MDB問題の調査で特別チームも

 

一方、政府系ファンド「1MDB」をめぐる汚職事件の調査のため、「元老議会」の権限で特別捜査チームを組むと、ダイム氏は明らかにした。すでに、調査や、不正に使われた金額の回収に協力できそうな人も確認しているという。

 

総選挙で1957年の独立以来初の政権交代が実現したマレーシア。公約のGSTの廃止、燃料補助金の再導入、1MDBをめぐる一連の疑惑解明が、元与党連合の国民戦線(BN)に勝った決定的な要因だと見られている。

 

記事掲載日時:2018年05月16日 08:37