icon-plane 「日本社会を炎上で変えたい」ぜんじろう特別インタビュー

「日本社会を炎上で変えたい」ぜんじろう特別インタビュー

 

国内外でスタンダップコメディアンとして活躍する吉本興業のお笑い芸人ぜんじろう。インドやタイ、マレーシア、中国など、最近ではアジア圏での活躍が増えています。マレーシアでの特別公演(寄席)を前に、国ごとの客層の違いを聞きました。(マレーシアマガジン=野本響子)

 

ーーアジア圏で活躍されてますね。
とにかくきた仕事をやっています。最近では特にインドが大きいですね。笑いには国ごとの特徴があって、お客のセンスが見えて面白いです。

 

ーー国によってお客さんに違いがあるんですね。
大きく分けると、日本と韓国、それ以外で特に違います。日本では知らない者は敵というか、見下すんですよね。自分の会社の上司や取締役の話なら聞く。けれど、全く知らない人には「知らん知らん、アホやろ」と見下す。日本と韓国が特にそういう傾向にありますね。

 

ーー中国は違うんですか。
びっくりしたのですが、違うんです。少し調べたら共産圏だからかな、と。文化大革命で儒教が破壊されたのではないかなと思ってます。あとコメディにお金を払って見るお客さんはミドル、アッパー層の方も多く、海外を知っています。世界で常識学んでるから相手を認めてからスタートする、というのが身についている。なので、中国で名も無い僕でも見てくれます。

 

マレーシアのお客さんは成熟している

 

ーーマレーシアではどうですか。
マレーシアはお客さんの質がとてもいいですね。ノリが良く、コメディに対してリスペクトがあります。僕がマレーシアにくる理由はそれがあるんです。ただ、厳しいです。 もう1段階上にいこうと思ったら、面白いネタ作らないといけません。すごい実力持っているのに、食えてない人が多いからね。
他の国と決定的に違うのは多民族国家であること。多宗教・多民族でイスラムが仕切っているが、いがみ合わない。地下に行けば争いはあるんでしょうが、その 割合が低いのがすごいなと思う。お笑いでも、世界でナンバーワンのコメディアンが出たりして、文化的にも成熟していますよ。

 

ーー他のアジアの国はどうでしょうか。
中国、ベトナム、インドでも同様ですね。ただし、階層によっても少し違うんです。田舎にいくと文化に対して敬意を表さない人がいます。アッパー層とローアー層の 違いは、教養の違いだなと思います。日本でのアッパーって、「お金だけを持つこと」だけなんです。教養やユーモアがズッポリ抜けてるんです。

 

炎上で日本社会を動かしたい

 

ーー2018年のお正月、「海外では、相手は誰であれ、舞台に立つ人間に対し、まず「尊敬」から入る。日本では、自分が知らないとまず「見下す」とこから入り、売れるとひれ伏すのは、事実です」とツイッターで発言し、1万以上リツイートされました。

 

 

石を投げたら広がるんだ、と体感しましたね。あれは実は意識的にやっています。みんなが言いたいけど、生活が奪われるから言えないことってありますよね。僕の場合は、すでに村八分食らってるから、不都合なことを言っていく役目ができる。そのために海外に出ています。

 

ーー誰かが言わなくてはいけないと。
ボケとツッコミってありますよね。あれ、ボケが感情だとしたらツッコミが頭(ロジック)。そして今の日本は「ボケ」ばかり。つまり感情ばかりなんです。「日本すごい、 自分すごい、かっこいい」みたいに幼稚で、ツッコミがない。こういうボケばかりの世界では「ツッコミ」が強くならざるを得ないんですよ。だから炎上するよ うな強い言葉を意識的に使う。自己批判がないのは、面白くないと思っています。
 

ーーそれであえて炎上させた。
吉本興業の芸人としては、炎上するのはどうかなと迷ってたこともありますよ。お正月にツイッターに書いていいなと思ったのは、8割の批判が来ても、2割の味方がいること。その2割は、8割の批判がないと出てこない。それくらい強くないとみんなリアクションができないのです。これが世間から求められてるのだなと。だから言わなあかんな、と思います。

 

ーー批判があった方がいい?

 

僕は、海外に住む人たちは日本社会に批判を起こした方がいいと思ってます。日本では悲しいかな新聞社の人が上司に対して忖度するんですよね。ジャーナリストですら、海外ではフリーの方が強いのに、日本は「どこの会社か」を気にするから言いたいことが言えない。

 

ーー日本社会を変えたいと言うことでしょうか。
今の日本は、国際社会に対応するために、内向きの頭固いおっさんをぶっつぶすくらいの勢いがいる時期なんです。だからそこまで言うか、と極端に膨らませてます。昔、(平安時代初期の僧である)空海は、中国に行って2年で帰ってきた。そのときに、ときの権力者に向かって「僕は雨を降らせることができますよ」と、こけおどした。本質をわかった上で、仏教を広めたいので、見え透いたおどしをやったわけです。これが成功した。

 

 

ーー今も同じことをやっていると
日本は、今、村社会で縦社会。となると上司が神様で、あとは全員敵なんですね。上の人の言うことだけ聞いて。自分の意見をなくせと言われる。この社会では、正直者はバカ をみる。海外で行くと、横社会です。個人がまずあり、自分自身に正直に生きないといけない。「私はこうです」というところからスタートするんですね。この 違いが大きいです。

 

ーー日本人はどうすればいいですか?
日本人は丁寧だというけれど、それは店員だけですよね。つまり、客がそれだけ失礼だってことなんです。マレーシア人も、「日本人は昼間会ったらいい人なの に、夜酒飲んだらめちゃくちゃになるのが不思議だ」という。多分、真面目にしすぎて、反動で徹底的に砕けてしまうんですね。
日本人は、会社に入ったら、始業時間も言ったことも守る。これは素晴らしい。ところが、終業時間は守らない。また、会社以外、しがらみのないとこでは、めちゃくちゃです。
海外では就業時間中にジョークを言ったりして、適当に働いてますよね。日本にはこういう方法論がない。それに今のところ、それを会社や社会が許さないで しょう。大戦のあと、軍隊が反省もないまま、そのまま会社に置き換わっちゃったんです。でもね、日本だってやり方さえわかったら同じ人間だからできると 思ってる。プライベートにもその幅を広げ、全体にもう少ししがらみを振りほどき、もう少し個人を大切に、正直になったら、本当に本当に素晴らしい社会になるでしょう。

 

ーーありがとうございました。

 

『日本の伝統芸能祭り!〜伝説の落語会編〜』(完売しました)

 

2018年8月26日(日)
出演:ぜんじろう(上岡龍太郎の弟子)、ザ!スシレマ−ズ(KLキンジョー!サイード)
開場:16時30分 開演:17時(終演 19時)
料金:100リンギット
場所:ISETAN The Japan Store 3F cube_5
住所:LOT10, 50 Jalan Sultan Ismail, Kuala Lumpur 50250, Malaysia

 

記事掲載日時:2018年08月23日 19:02