米国のロックバンド「ガンズ・アンド・ローゼズ」がマレーシア公演を行った。実際に見てきたのでレポートする。(マレーシアマガジン=かりわめぐみ)
2018年11月14日、クアラルンプール郊外にて「Guns N’ Roses Not In This Lifetime Tour in KL」が開催された。
米国出身のロック・バンド「ガンズ・アンド・ローゼズ」のマレーシア公演。場所はクアラルンプール郊外のサンウェイ・ラグーン・サーフビーチ。
同バンドは2012年に「ロックの殿堂」入りを果たしている世界でもトップクラスのロック・バンドだ。
このツアーはオリジナル・メンバーのアクセル・ローズ、スラッシュ、ダフ・マッケイガンに加え、2002年加入のギター、リチャード・フォスター、2006年加入のドラム、フランク・フェラー、1990年から参加しているキーボードのディジー・リードと紅一点、メリッサ・リースで構成されている。オリジナル・メンバーのイジー・ストラドリンとスティーヴン・アドラーは不在だが、アクセル、スラッシュ、ダフの3人が集まる貴重なステージだ。
今回のステージがなぜ”貴重”なのか。それは、ボーカルのアクセルとギターのスラッシュの間には、20年にも及ぶ確執があったからだ。
1996年にバンドからスラッシュが脱退。1998年にはダフがアクセルの元から去り、バンドは「新生ガンズ・アンド・ローゼズ」としてアクセル1人で率いることとなった。バンドの功績が認められ、2012年にロックの殿堂入りを果たした際には、スラッシュ、ダフ・マッケイガン、スティーヴン・アドラー、マット・ソーラムの元メンバー4人が式典に出席したが、アクセル・ローズが現れることはなかった。
そして2015年、長い空白の時に終止符を打ちアクセルとスラッシュは和解したのだ。
ライブ当日は、開場前から小雨が降り始めていた。スタートの1時間前から入場待ちの列ができている。詰めかけたおよそ3万人のファンたちは、20時の開始時間を過ぎても全員会場に入りきれずにいた。私がステージにたどり着いたのは2曲目の「Mr. Brownstone」の終わり頃だった。曲は「Chinese Democracy」「Welcome to the Jungle」と続き、序盤から観客のボルテージが上がる。そこから28曲、ほとんどMCはなく約3時間にわたり演奏が続けられた。
サンウェイ・ラグーンのサーフ・ビーチに特設された砂浜のステージは、隙間なく観客で埋め尽くされている。マレーシアで大規模なライブ観戦をするのは初めてだが、特に合唱の多さに驚いた。マレーシアのライブは参加型で、会場を埋め尽くす大観衆が何曲もアーティストと一緒に大声で歌い続けるのだ!「Knockin’ on Heaven’s Door」に関しては、もはやアクセルの歌声が合唱にかき消されるほどであった。日本でもさまざまなライブ鑑賞をしたがここまで歌い通すライブは人生初。そして、マレーシアファンの情熱に胸を打たれたのは私だけではないはずだ。ステージ上のアクセルも、普段のクールな表情から自然に笑みがこぼれていた。
会場の熱気と共にさらに雨は強さを増す。そんな11月の”冷たい雨の中”で聴く「November Rain」はマレーシアのガンズファンにとって、特別な1曲となっただろう。
今回、なによりも観衆を驚かせたのが「Attitude(Misfits)」「Slither(Velvet Revolver)」「The Seeker(The Who)」などのカバー曲だ。
アンコールではカバーオリジナル合わせて4曲を披露し、「Paradise City」で幕を閉じた。怒涛のステージで、ライブが終わるころには日付が変わっていた。
「Guns N’ Roses Not In This Lifetime」のツアーは、マレーシア公演の後、台湾、香港、アブダビへと続く。
セットリストは以下
記事掲載日時:2018年11月21日 09:22