icon-plane 百聞は一見にしかず〜コタバルでラマダンについての理解を深めてみた〜

百聞は一見にしかず〜コタバルでラマダンについての理解を深めてみた〜

photo credit:Discovery Malaysian

photo credit:Discovery Malaysian

 

マレーシアの東海岸に位置するクランタン州は、イスラム教徒であるマレー系マレーシア人の多く住む地域です。ラマダン真っただ中のクランタン州コタバルで、非ムスリムを招待したマレーシア観光局によるラマダン体験旅行に参加してきました。(マレーシアマガジン=上地依理子)

 

コタバルはマレーシアの東海岸に位置します。タイとの国境を接するクランタン州の首都です。人口の90%がマレー系で占められる地域です。

 

ラマダンとはイスラム教徒が行う1ヶ月間の断食のことです。

 

2019年のラマダン期間は、5月5日から6月4日まで。断食をする時間は日の出から日没まで。日が出ている時間は飲食をしません。

 

クアラルンプールの飲食店のほとんどはラマダン中でも通常営業しています。そのため、ラマダン中のみ開催されるラマダンバザーに行くことくらいしか、意識する機会がないと思います。コタバルでは街全体からラマダン期間中だと感じることができました。

 

コタバルのレストランは昼間は中華系、インド系以外閉まっているところが多かった印象です。3時ごろになり、ようやくお店の準備が始まるようでした。また、お店の看板もアラビア語で書かれているものが多かったです。コーランはアラビア語で書かれているのでその影響かもしれません。コタバルのイスラム色の強さを理解しました。

 

朝ごはんは4時半に食べます

 

コタバルの断食期間は、午前5:30から夕方7:21まで(5月22日コタバルにおいての断食明け時間)飲食できなくなります。

 

そのため、朝ごはんは4:30ごろ集まって食べます。私たちはコタバルスタジアムの横にあるスペースで集まって食べました。朝ごはんはコタバルのイスラム・コミュニティーで用意されたもので、ここに行くと毎朝、朝食が配られるそうです。これが夜ご飯までの最後の食事となるので、朝からしっかりしたナシレマをいただきました。

 

なお、マレー風のご飯の食べ方は、食べ物を地面に置き、右手を使い、親指で押して、迎え舌で口に入れると教わりました。実際に食べてみると、結構難しかったです。日本では迎え舌で食べると上品ではないとされますが、文化が違えばその食べ方が一般的になる。自分のフレームワークの低さを理解しただけでなく、フレームワークを壊しつつ広げて行くことの大切さも感じました。

 

マレー風の食べ方。手で食べる様子

 

朝早くから朝食のために集まる人々

 

ラマダンバザーで、断食明けの食事を一緒に食べる

 

ラマダンバザーはラマダン期間の1ヶ月間限定のマーケットで、夕方に始まります。ラマダンバザーで買ったものは午後7:21(5月22日コタバルにおいての断食明け時間)の断食明けの時間まで待たないと食べることができせん。今回の夜ご飯も朝ごはんを食べた同じところでみんなで集まって食べました。ここではたわいのない会話をしたり、写真をみんなでとったり楽しみながら断食明けの時間を待ちました。

 

徐々に集まる人々

 

 

買い物後みんなで待っている時

 

夜のお祈りは大事な慣習

 

夜のお祈りも、ラマダン中には欠かせない重要なイスラム教徒の慣習です。

 

朝ごはん、夜ご飯を食べた同じスタジアム横のスペースで、たくさんの人たちがコーランを読み上げていました。ラマダンとはイスラム教に対してイスラム教徒がしっかりと向き合う期間であることを目で見て理解することもできました。

 

また、小学生や小学生以下のイスラム教徒の子供達も大人と一緒に座り、コーランを読み上げている姿に驚きました。断食は家庭によるのですが7歳から10歳の間で始めるという話を聞きました。実際に、小さい子供の姿を目の当たりにすると、小さいころからイスラムの信仰はマレー人にとって大切なものなのだと理解できました。

 

男性たちが集まりコーランを読んでいる様子

 

女性たちが集まりコーランを読んでいる様子

 

モスクでの出来事

 

旅の期間、たくさんのモスクに足を運びました。

 

自分が非ムスリムということもあり、どこまで入っていいのか、写真を撮っていいのか、わからない部分がたくさんありました。モスクに入る前に体の洗い方を教えてくれる人、プレイヤールームにおいでおいでと誘ってくれる人。非ムスリムに非常にオープンでウェルカムでした。イスラム教徒の方々の優しさを肌で感じる経験となりました。

 

また全身全霊を込めて1つの祈りに感じるエネルギーの莫大さを感じました。イスラム教徒がどれだけ非イスラムに寛容というだけでなく彼らの信仰の深さ、祈りから感じるエネルギーは心にくるものがありました。

 

お祈り中の写真

 

非ムスリムにもオープンなコタバルの人たち

 

コタバルで感じたことはムスリムの人たちは、非ムスリムに非常にオープンであること。理解しようとする姿勢を見せるだけで、なんでも教えてくれることです。

 

この旅行に行く前はイスラムについて、ラマダンについて少しの知識しかありませんでした。クアラルンプールで周りにマレー人が少ない環境に置かれている私は、マレーシアにいるにもかかわらずラマダンについて理解する姿勢を見せなかったかもしれません。

 

でも、自分の目でイスラム教徒がお祈りしている姿を見て、みんなでラマダンバザーに行って夜ご飯を買って、一緒に食事の時間まで待って、イスラムの人と夜ご飯を食べて…そんな体験をした今の私は、イスラムについて理解を深めることができただけでなく、ラマダン中のイスラム教徒の信仰の深さをリスペクトできるようになりました。

 

理解することは違いを目で見て感じ、人から感じる、それを自分の感情で受け止めること。理屈で語ることのできない感情的な部分に訴えてくる何かを感じた今回の旅でした。また新たな角度からイスラム教徒に対して接することができそうです。

記事掲載日時:2019年05月28日 17:03