icon-plane 社会事業家が集まるポップアップ店舗がサンウェイでオープン中

社会事業家が集まるポップアップ店舗がサンウェイでオープン中

 

マレーシアの社会事業家が集合したポップアップ店舗が、サンウェイ・ピラミッドに登場した。主催者へのインタビューを通じ、その内容をお伝えする。(マレーシアマガジン =渡部明子)

 

5月11日から8月31日まで、クアラルンプール郊外のサンウェイピラミッドショッピングモールでは、マレーシアの社会事業家らが一堂に介したポップアップ店舗“THE GOOD SHOP”がオープン中。

 

THE GOOD SHOPとは、大手ビジネスコンサルタント企業に勤務していたイーナ・カリル氏がスタートした社会事業系店舗で、2015年から当地の各ショッピングモール等で、ポップアップ展開している。

 

シートベルトバッグをシグニチャー商品として展開するビジビジ・イニシアチブ、高品質の伝統工芸バッグや難民の手によるアクセサリーを展開するアース・エアなど、今では国内外で周知されるエシカルビジネスブランドも、THE GOOD SHOPの軒を借りて、その評判を高めてきた。

 

THE GOOD SHOPの意義

THE GOOD SHOP発足の契機は、2013年に遡る。

 

サラワク在住の友人、ジャッキー夫妻宅を訪れたイーナは、その昔、王族のみが身に着けることを許されていた錦の織物を現代風にアレンジしたスカーフや、テーブルクロス等を目にし、その美しさに驚愕する。それらは、ジャッキー夫妻が立ち上げたソンケット・ブランド“tanoti”製品の数々だった。サラワクの伝統工芸である機織り文化の衰退を危惧して開始したブランドだという

 

「KLに出店しよう!絶対に売れるから」と友人に説得を試みるが、ジャッキー夫妻は、決して首を縦に振らなかった。「2センチ織るのに1時間かかる技術を要する上、職人の数も限られている。一定量を継続生産できないため、KLで店舗を有するコストを負担できるとは到底思えない。また、絶対に売れるという保証もない」。フェア・トレードビジネス(生産者が適切な収入が得られるように適正価格を支払うビジネススタイル)を実施するビジビジ、アース・エアらも同じ問題を抱えていた。

 

そこで思いついたのが、「各社会事業の優れた商品を一堂に介した店舗、THE GOOD SHOP」だった。早速、彼らに当ショップのコンセプトを説明・提案するも、先陣を切る者がいない。「私自身が先陣を切らなければ、ついてきてくれるわけがない」。そう気付いたイーナは、会社を辞し、自らTHE GOOD SHOPを経営する社会事業家へと転身する。

 

すると、ビジビジは店舗で用いる展示用家具類をすべて制作・提供するなど、若い事業家らは一斉に協力を申し出る。当初は5社から始まったThe Good Shop。今では30社が展開する。

イーナさん

イーナさん

 

平日は啓蒙活動のみ、土日は商品販売

今回、The Good Shopは異例の展開方法を取る。各社の商品を販売するのは土日限定。月曜~金曜は、売場に商品は置かず、テーマごとに社会問題への啓蒙活動を行うフリースペースとし、「飢餓」、「不公平、ヒューマン・ギャップ」等をテーマに、啓蒙用パネルを展示する(スタッフは常駐しない)。8月末までの展開予定で、その後3か月間の延長も視野に入れている。

 

The Good Shopの展開商品とワークショップ

土日に販売される商品は、アース・エアの人気商品(ビニール紐のバッグ“ネリー”、難民の手によるアクセサリー類など)、ビジビジ・イニシアチブからシートベルトバッグ、TIHARA LIFESTYLEから竹布を用いたアパレル製品、施設で暮らす子供たちなどに「お母さんが読み聞かせるように」物語を読む活動を展開するMAGICBIRDの必読の絵本、車いすアーチストによるワイヤー・アート作品、規模の小さな農家による濃縮マンゴージュース他各種食品、コスメ類など、多岐にわたる。

 

また、土日限定で、ワイヤー・アート、絵画等のワークショップも開催される予定だ。

 

車いすのワイヤー・アーティスト ペン・ワイさん

 

TheGood Shop
商品販売は土日限定(月~金は啓蒙活動のみ)。8月末まで(延長予定あり)。
場所:LG2, Sunway Pyramid Shopping Centre(Komugi LG277A とムーミンショップLG2.75の間), 3, Jalan PJS 11/15, Bandar Sunway, 47500 Petaling Jaya, Selangor

記事掲載日時:2019年06月03日 11:52