icon-plane 名門校ほど「勉強しない」のはなぜか?ーー長時間机に向かって勉強する時代は終わった

名門校ほど「勉強しない」のはなぜか?ーー長時間机に向かって勉強する時代は終わった

さまざまな国のスタイルの学校が選べるマレーシア。
しかし見ていると、ある傾向に気がつきます。

それは「学費が高い欧米系の学校ほど、勉強時間が少ない」こと。

最近、マレーシアに開校している全寮制の英国式ボーディングスクールがその好例で、その分、スポーツや芸術に割く時間を増やしているのが共通点です。
例えば、ある学校の1日の自習時間は1時間。それで十分だといいます。彼らはさまざまなスポーツをし、ディベートをし、ボランティアからミュージカルの上演まで経験します。塾に行く暇などないのです。

一方で、中華学校を始めとするマレーシアの伝統的な学校では塾が大変盛んです。子供たちは、長時間、プレッシャーのもとに勉強した上、さらに塾に行って勉強します。学校では、受験に関係のない体育や音楽の授業は大幅に割愛されています。
日本の受験教育はこの延長線上にありますよね。

これはどういうことでしょうか?

英国式ボーディングスクールの分校、エプソムカレッジ・マレーシアに聞くと、こう教えてくれました。

「教育の質が変わりつつあるからです。アジアの伝統的な知識偏重教育では、暗記のために多くの時間を勉強に費やす必要がありました。しかし時代が変わりました。いまや知識はコンピュータで調べられますから、今度はその知識同士の関連性を考えさせる教育が主流になってきた。 長時間勉強する時代は終わったのです」

 イギリス式の教育でも、以前はアジア同様、知識偏重の詰め込み教育が主流でした。これが変わってきたのはここ数年の傾向だそうです。背景にあるのはもちろんITの台頭です。

 だから、彼らは探求型授業やポスター作り、グループでのディスカッションに時間をかけます。生徒たちは、コンピュータや図書館で自分で調べろと言われます。暗記がさほど重要でないため、長時間机に向かう必要が減っています。

 その代わり、多くの生徒が良い成績を取れるため、学業成績にプラスαできる何かが必要になるそうです。

「実際、ハーバードを目指すような学生の成績はみなAプラスばかりで差がつきません。そこで、クラブ活動を通して得る、その人なりの経験であり、技能が重要になってくる」

アジアの伝統的な詰め込み教育と、IBを始めとする英国、米国、オーストラリアなどの「グローバル教育」は、まったく違うんですね。
なかには、グローバル教育が物足りず、伝統的な暗記教育に子供を戻す親もいるのだとか。

世界の潮流がこの2つの対立に向かうのか、それともグローバル教育に収斂されるのかはわかりません。
マレーシアに来たら、この2つの価値観により違うタイプの学校が存在することは、知っておいて損はありません。

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