icon-plane 英国式の学校がなぜ「楽しすぎる」のか、小学生留学した子供に聞いてみた

英国式の学校がなぜ「楽しすぎる」のか、小学生留学した子供に聞いてみた

11歳の子、いつも「あーーーー今日も学校が楽しかった!」と言いながら帰ってきます。

日本にいたときには、学校に行きたくなくて、前日の夜から毎日泣いていたのに、なんという変わりようでしょうか。
今では「あのときの俺はロボットだった…存在感がゼロだった。本当に辛かった」とたまに回想しています。

いったい何がどう楽しいのか? 聞いてみました。

・いつ質問してもいい

英国式の学校に入った当初一番びっくりしたのがこれでした。
子供は「ここでは、わからないことはいつ質問してもいいんだよ!」と興奮してました。
当時英語力はほぼゼロ。なんとわからない単語をいちいち聞いて、授業を中断させてたそうです。

あとでイギリス人の担任に聞いたら、
「質問するのは素晴らしいこと。きっとほかの子供の中にも意味のわからない子がいると思いますよー」だって…。
むしろ、質問や発言をしないことは、授業に参加していないとみなされます。

・教科書を使わない
今の学校、教科書をほとんど使いません。先生が一方的に話す授業がほとんどなく、生徒たちとのディスカッション形式で進められていきます。ポスター作り、プレゼンテーションなどは子供は夢中になって進めます。子供に言わせると「授業はエンターテインメントみたいなもの」で、退屈な時間がほとんどないそうです。
歴史では英国の産業革命後の怖い話に夢中になり、科学では人体の臓器がどういう働きをしているのかに興味を持ち、帰ってきてからのおしゃべりがうるさいです。

・エンターテインメント
授業以外にも、コンクールやテストなどがとにかく多い。全員参加のネットの算数ゲームでは、アジア中の学校対抗でポイントを競い、リアルタイムで順位がわかります。入賞者にはメダルがもらえると夜中まで夢中でやってました。
でもやってることを覗くと、日本の「計算カード」と同じなんですよね…。汗
英語の副読本も面白いものばかり選ばれていて、親の私も時間を忘れて読みふけってしまうほどです。

・競争・競争
賞の機会が山ほどあります。毎月、授業で卓越した質問をした子に「スター」が与えられ、このスターを一番多く集めると毎月表彰されます。算数ウィーク、科学ウィークにはコンテストがたくさん。「日本の学校では褒められたことがなかった」と回想する我が子も、いろんなメダルをもらってます。周りからも、何が得意で何が不得意か、一目瞭然です。

・ICT
小学生でエクセル・ワード・パワーポイントの使いかたから、スクラッチという子供のプログラミングソフトを教えます。宿題には毎回インターネットが必須で、ウィキペディアなどを見て資料を作っています。

・子供が大好きな先生たち
子供の学校は、みんなのご褒美にはアイスクリーム、映画やマクドナルドに連れてってくれます。日本なら「えっ」と眉をひそめる親もいると思います…。子供はいつも「この学校の先生は、ただただ、子供が大好きなんだと思う。だからいいんだ」とよく言います。

親から見ると、先生たちが本当によく生徒を見ているな、と思います。
ちょっとしたこと(宿題を忘れたとか)で、すぐに先生から電話がかかってきます。

そして学校全体に溢れるポジティブなムードが、子供の性格におおいに影響しています。
日本では不登校寸前だった我が子はここに来ておおいに変わり、いまではプリフェクト(監督生)として先生の手伝いをするまでになりました。

小学校でも教科別に先生が違うので、個人面談では全員の先生と好きなだけ話しをします。(だからむちゃくちゃ時間がかかります)
あとは、幼稚園などでボランティアや奉仕をする機会があります。創立者の先生は養子を数人育てているそうで、学校で見せる映画や本は、障害を持った子供が主人公であることが多く、自然に他人を助ける態度が身についている気がします。

学校のレベルが高いのか低いのか? 私には正直わからないです。不満を持っている親もたくさんいます。体育の授業は最低限だし、音楽の授業はありません。
私は楽しく通ってくれればそれでよし、と思っています。

「いい学校があるのではない。あなたの子供に合う学校があるだけです」という言葉を以前紹介しましたが、その通りだと思います。

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