あけましておめでとうございます。
マレーシアマガジンの野本です。
5年も日本を離れると、だんだん日本の感覚からズレていきます。
日本の受験戦争ももはや対岸の火事という感じで眺めていたのですが、
どうやら大きく変わっていきそうです。
今回帰国ついでに教育雑誌の編集部にお邪魔したのですが、
話題となるのは2020年の教育改革のこと。
学校教育にもグローバル化の波が押し寄せているのだなと感じます。
教育改革って何?って人に簡単に説明すると、
文科省は2020年、大学センター試験を廃止。高校でもインターバカロレアの認定校を増やし、従来の暗記型教育から、探求型のアクティブラーニングへ舵を切ります。知識の詰め込み教育ではなく、探究型の授業、課題解決型の教育に変わっていくのです。
乱暴に言えば、今欧米で主流となっている教育方法が日本にもやってきます。文科省が始めたグローバル人材育成のための事業「スーパーグローバルハイスクール」の指定校も123校に増えました。
そんな中、受験戦争にも変化があるそうです。
大きく分けると「英語教育の広がり」「総合型の入試問題が登場」「大学付属校の人気」の3点です。
1 中学受験で英語が重視されはじめた
中学受験に「英語入試」を取り入れる学校が急速に増えているそう。
受験者数も2015年の約300人から1年で約500人と急増中。
帰国生向けではなく、英検2−3級のレベルの問題が出ているようです。
小学校で週1回の英語教育が始まっても、おそらく太刀打ちできないでしょう。
学究社小学部長の中村絢香さんは、
「帰国生で帰国年限に引っかかってしまった人(一般的に帰国から2年)やインターナショナルスクールに在籍している子供向けだと思われます」
とコメントしています(プレジデント社「2016完全保存版 中学受験大百科」)。英語が話せる生徒の獲得が目的なのでしょう。
2 総合型の入試問題が登場
教科の枠を超えた総合型・表現型の試験問題が増えています。問題について、自分の考えを書かせる正解のないタイプの問題です。インターナショナルスクールではおなじみですね。
例えば、東京の品川女子学園では総合型・表現型の試験を導入した理由として、ホームページ上で
「1つ目は「スーパーグローパルハイスクール」指定校となったことです。(中略)現在は全教科で課題解決型学習を実施しており、表現力のある生徒たちが授業を活性化しております。
2つ目は、日本の大学入試の変化です。2020年を目標に大学入試センター試験は廃止となり、思考力や表現力を重視した入試へシフトしていくと言われております。」
と説明しています。この流れは2020年に向けていよいよ加速しそうです。
3大学付属校が人気に
しかしこの制度、不安も多いようです。
「先生は従来型の教育を受けてきた人ばかり。本当に新しい教育ができるのか?」という声を多く聞きました。
そこで、突如人気になったのが、大学の付属校です。先の見えない大学入試はいっそのこと避けて、中学校で大学まで決めてしまうというわけ。
ちょうどお子さんを中学受験させている友達も、
「制度の先も見えないし、これ以上受験勉強させるのも嫌。大学付属校に入れて、受験を離れた環境で、自分の進路を考えて欲しい」と言っていて、なるほどなーと思いました。
まとめ
数年前、マレーシアの有名校に行ったら「もう机に向かって勉強する時代は終わったんですよ」と言われて驚きましたが、その流れがついに日本にも来てしまいました。
実際に私の子供はマレーシアのインターナショナルスクールでアクティブ・ラーニングを体験中。時代にあった教育だなーと感じます。
板書を丸写し、暗記する学習と違い、表現型・総合型の学習では、子供達が主体。インターネットで調べてレポートを作り、ディベートを含んだ授業でヘトヘトになる程頭を使い、表現します。子供はとても楽しそう。
先生たちは「子供立ちがハッピーなので教えるのも楽なのです」と話します。そして他人とは敵ではなく、仲間なのだと教えます。
一方で、日本では「受験(暗記教育)かグローバル教育か、真逆の選択なので悩む」という親御さんの声も多く聞いてきました。
私自身、暗記教育にどっぷり浸ってきた世代。「これって本当に教育なのか?」と疑問だったので歓迎すべき変化です。
これを機会に、日本の教育が良い方向に変わると良いですね。
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