icon-plane 他人に嫌われるという自由ーーシンプルすぎて衝撃の「嫌われる勇気」を読んで

他人に嫌われるという自由ーーシンプルすぎて衝撃の「嫌われる勇気」を読んで

遅ればせながら、はじめて岸見一郎・古賀史健「嫌われる勇気」を読みました。
昨年、累計58万部を突破したというベストセラーです。

遅れすぎ? いやすいません、そうですよね。

この本については嫌になるくらいあちこちで語られてます。もう飽きた!って方は読み飛ばしてください。
私にとっては衝撃的、人生の指針になる一冊です。

多分、それは私がマレーシア人から日々学んでいること。
マレーシアに来て、もしかするとそうじゃないかなーって薄々思っていたことをズバリ言ってくれていて、
不思議な爽快感がありました。

共著者の一人は哲学者の岸見一郎さん。
架空の青年と哲学者との対話を通し、今話題の「アドラー心理学」を大変平易に解説しています。

アドラーはフロイト、ユングと並び「心理学の三大巨頭」と称される巨匠だそうです。
フロイトの共同研究者でしたが、1911年にフロイトと決別し、独自の「アドラー心理学」を提唱しはじめたらしい。

フロイトは正直なところ、いくら本を読んでも難しくてよくわからなかったのですが、アドラーの哲学は(少なくともこの本を読む限り)明快です。印象に残った部分を書き出してみます。

■「人生は連続する刹那である」

人生は頂上を目指して山を上るようなものではなく、その一瞬、一瞬をダンスを楽しむように生きる刹那の連続である、とアドラーは説くのです。

私は貯金したり、目標に向かって努力したりしてきましたが、アドラーは過去や未来を見て生きることに意味はないといいます。人生はある日突然終わりを迎えるのだから、と。

思わず、瞬間、瞬間を楽しむマレーシアの友人たちを思い出しました。
「人生は短い。今を楽しまなければ意味がないよ」と何度言われたことか!

けれど、それこそが人生であると、この本は断言してます。
つまり、「努力」自体には意味がないということでしょうか。
私にとっては、けっこう衝撃です。

■「自由とは他者から嫌われるということ」

他人から嫌われることを恐れなくなったとき、はじめて人は自由になれるとアドラーは言います。
はっきり「嫌い」と公言し、「誰かには嫌われてるだろう」という自覚のあるマレーシア人から、私がまさに習っていることがここに書いてありました。

確かに、他者からの承認をいちいち欲しがっていたら、一歩も動けなくなってしまいます。
理屈ではもちろん、その通りなのですが、私も褒められたら嬉しいし、叱られたら落ち込みます。

ところが本書では、多くの人が承認欲求から自由になれないのは、「褒めたり、叱ったり」する教育のせいだと説くのです。すると、自分の人生ではなく、他人の人生を生きることにつながってしまうと。衝撃です。褒めたり、叱ったりするなと言うのですから!

■「普通であることの勇気」

他者と自分を比較し、自分が特別な存在でありたいと願う人は自慢をしたり、自己を卑下したりして苦しみます。マレーシア人、あんまり他人と自分を比較しません。人種も生活も宗教も違うし、比較してもしょうがないからです。

一方で、なかには「俺は特別なんだよ!」と一生懸命アピールしている人がいます。
これに対して、大事なのは、「普通であることの勇気」だと。
幸せになるのって、案外「普通」を認めることなのかも。

■「幸福とは、貢献感である」

もうシンプルすぎてガツンときました。そうなんですよね。

常識に真っ向から勝負するような、問題の書です。
たしかに理屈ではそうかもしれないが、しかし….といいたくなります。

本書に出てくる「青年」も、なんどもこの「哲人」にいらだち、疑問を呈し、ときには怒りをぶつけています。

この思想を理解するには、それまで生きて来た時間が長ければ長いほど、時間がかかるとのこと。
何度か読んで、もう少し考えたくなるような、そんな本でした。

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類書もたくさん出ていて読んでみましたが、この本がもっとも良い。アマゾンのリンクです。
嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え