「Wonder」は、いじめをテーマにした米国の小説です。
子供の小学校の副読本だったので、読んでみました。
◼︎いじめはどこにでもあるし、誰にでも起きる
主人公のAugustは生まれつきの遺伝子疾患による顔に障害のある男の子。
そのため、 どこへ行っても人々の視線にさらされます。
母親がずっと家庭で教育してきたのですが、5年生で私立学校に行くことに。
周りの子供達は見た目が異なるAugustを怖がります。
「さわると病気がうつる」という「ゲーム」を始めたり、彼のとなりに座りたがらなかったり。
そのたびに、 Augustは傷つきます。
とくに「いじめてやろう」と思わなくても、いじめって始まります。
それに本人たちにはいじめている意識はないんですよね。
この本が面白いのは、同じことが、Augustと 友達になるように教師から指示された子供Jack、両親が弟にかかりっきりなので寂しい主人公の姉など、いろんな子供の視点から語られること。
いじめられている側の視点と、いじめている側の視点の違いに驚きます。
いじめを見ているほうも少なからず傷ついています。
さらには「障害のある子供を一緒に教育するのはうんぬん…」などと学校に嫌味を言う保護者が出てきます。
で、 その子はというとやっぱりいじめっ子だったりするのが興味深い。
米国を舞台にした物語ですが、起きることは日本とびっくりするくらい同じです。
きっとマレーシアも同様ですね。
◼︎正しいことより、親切なことをしよう
文中で、先生が毎月preceptと呼ばれる訓示のようなものを発表します。
とくにこれ。
When given the choice between being right or being kind, choose kind.
「正しいことをするか親切なことをするか迷ったら、親切にしよう」
いい言葉だな〜と思いました。
子供の通うマレーシアの学校ではこの箇所を読んで、preceptをみんなで作っているそうです。
テーマが重い割には文体は明るく、子供向け小説なので英語もやさしくて難しい単語は出てきません。
おすすめです。
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