最近、ガラにもなく教育事情をテーマにした本を書いてしまいました。
書いておいて何ですが、そもそも教育ってなんだろ、ってことが、じつは私にもよくわかりません。
私自身は高校まで地元の公立学校に行き、私大を出て、高層ビルを持つ大企業(金融)にOLとして入りました。
その経験からわかったこと。
日本の受験勉強って、日本企業で働くための、「我慢の練習」だったんだ、ってことです。
私は大学を出て、典型的な日本の大企業に勤めました。
毎朝朝礼があります。ときどき社歌とか歌います。
女子社員はお茶入れたり、行事があると衣装来てポンポン持って踊ったりします。
締め切りが終わると支店長とチークダンスさせられたりします。
「なんでこんなことするの?」って言う人はいません。
昼休みはキッチリ1時間と決まっており、数分でも遅刻しようものなら大目玉です。
仕事がはじまる時間には矢鱈うるさいくせに、終わる時間はなぜか無視。延々と残業させます。
残業代は決まった時間しかつけられません。
通常、総合職は、最初支社に配属され、4年ごとの転勤がありました。
会社員になると、住むところも自分で選べないのか……。これも私には衝撃でした
ある日突然辞令が来て、言われるままに引っ越すんです。
社員はまあまあの大学を出た人ばかり。
でもこれ、理にかなってるなと思いました。
名前の通ってる大学に入った人は頭の出来はともかくとして、みな我慢強いんです。
受験勉強で「とにかくやれ」「覚えろ」って言われたことに黙って耐えられた人なので、理不尽な環境に疑問も持たず、文句も言わずに従うし、要領よく覚えることにも長けてます。
そのためのふるいが「受験勉強」なんだと思いました。
もちろん、中にはとびきり優秀な人もいて、大学できちんと勉強の成果を出していたり、いきなり企業の中枢として頭脳労働していたりしますが、大多数の平々凡々な人間は平凡な一流企業に入るためにまあまあの大学に行くわけです。
採用側は「ああ、××出身か。コイツ、根性あるんだ」とわかるわけです。
会社は賢くて意見を言うような新人より、会社のシステムに馴染み、疑問を持たず「はいっ」と返事して素直に働く根性のある新人を重宝しますから、これでいいのです。
一方で、日本の大学教育は、こういう人たちがきちんと最後に息を抜けるようにできてます。
会社に入ったらもう遊べない! これが長期休暇を取れる最後のチャンスだ! って学生たちはよくわかってる。だから、必死で勉強しなくても卒業できるシステムになってます。
人気があるのは「面白い講義をする先生」ではなく、「単位をすぐにくれる甘い先生」です。
こっそり講義のノートが売っていて、試験前にだけ学生が増える。
当時は「大学のレジャーランド化」が批判されてました。
でも大学は需要に応えてるだけのことです。
だから、日本の大学→日本の企業、というコースはこれで上手く回っている、と私は思います。問題は、このシステムが諸外国のシステムと違いすぎるってことでしょうか。
日本の大学はこれに気がついて、優秀な学生を獲得する方向に舵を切ろうとしているようですが、まだあまり変わっていないように見えます。
最近、アジアの大学を出たある学生さんと話しました。
彼女は「どうしても日本の大学にも行ってみたい」と早稲田の大学院に入り直したそうですが、親子で大学の内容のなさにガッカリしていました。
日本の一般的大学教育はあくまで日本の会社とセットになっているから良いのだ、と私は考えます。
日本の大企業をゴールとして考えるなら、日本の大学を選ぶのは良い選択だと思います。
最近、日本はダメだダメだと言われますが、個人的にはそんなにダメとも思いません。
しかし、日本のシステムに合わない人の場合はどうなんだろ? というのが当面の私の疑問です。
よく考えたら、私は日本以外のことについて何もわかってません。「日本では~、外国では~」と比較されますが、そもそも自分が海外に出たことがないと、複数の視点が持てません。
行くなら、自分の馴染みのある国を見てみたいと思いました。
今回、マレーシアに来た1つの理由です。
円が下がって来ました。対ドルで100円を突破する勢いです。
リンギットも円に対して上がって来ました。
私が移住した当時は円高で、1リンギット26円。それがいまや32円です。
日本円での収入で生活すると厳しいという声も聞きます。
さらにマレーシアはGDPも成長中。
2012年10~12月期では前年同期比+6.4%の高成長を達成しました。
インフレ率は2013年で2.2パーセント(推計)。
当然ながら、物価も学校の学費も毎年上がります。
そんな中、在住日本人と話していると、「思ったより生活費が高い」という声もちらほら聞きます。
日本人だけではなく、韓国人ママたちも同様らしい。
実感としてはたしかに食費は安いです。とくに外食は日本の3分の1というのは実感します。
けれど、日本食を食べ、お酒を飲んだり、豚肉を食べたり、柔らかい牛肉にこだわったりすればあまり変わらなくなります。とくにビール以外のお酒は高く、安物のウイスキーでも3000円くらいするのです。こちらでは、チョーヤの梅酒が高級品扱いだったりします。
コーヒーなどの嗜好品、乳製品も輸入品が多いため、高めです。
それから車が高いです。
国産車マイビーにのる韓国人や日本人を尻目に、ベンツやBMWなどの高級車に乗るマレーシア人を見ていると、この国は本当に豊かになっているのだと実感します。
それから一番大きいのが教育費。
日本の公教育は無料でそこそこのレベルの高い教育が受けられるので、ここを捨てるかどうかは悩む人が多いところでしょう。
結局のところ、教育前提の移住の場合、トータルでは日本と同じか、少し高い、という感じでしょうか。
かつては日本の3分の1と言われていたのですが、大分変わって来た気がします。
だから、個人的にはマレーシアに来る場合、やはりマレーシアという国自体が本当に好きかどうかが、大切だと思います。
ホントは欧米に行きたいのに「安いから」という理由だけでアジアに来ると、ガッカリするかも知れません。
先週、仲良くしていただいていた韓国人家族が突然KLを離れることになりました。
引っ越しの理由は「もっといい学校が見つかったので、子どもたちのために家族で引っ越す」とのこと。
いくつかの土地に絞って学校を見学し、試験を受けて、物件を探し、学校に徒歩で通える家に家族でしばらく暮らすことにしたそうです。
まさに孟母三遷ですよね。
お母さんは子どものために起業した方。世界のどこでもインターネットがあれば働けてしまうんですね。スゴイです。
なのに、話してみると自然体で、子どもものびのび。楽しそうなご家族です。
マレーシアに教育移住している韓国人のご家族と話していると、本当にいろいろと違いを感じます。
日本人で、ここまで徹底している人はまだまだ少ないように思いますが、インターネットの発展とともに働く国や場所に縛られない人が増えてくると、同様のことが起きてくるんでしょうか。
興味深いです。
投稿日:2013/04/20 Posted in 未分類