icon-plane2014年12月 | マレーシアでちょこっとだけ子供の教育を考えた。

「未来の社会はキモチでまわる: IT が変える、僕らの繋がり、キモチ、自由意志〜時代を生き抜くための 28 のヒント」

元米国アップル管理職で現在作家/経営者として活躍されている松井博さんの最新作です。
これ、彼の講演をまとめたものなのですが、いやー、面白い! 未来がどうなるのか?と思っている人はスルスルと読み進められると思います。。

15〜30年後、私たちの住む世界はどうなるのか?
もはや未来を予測するにあたって、グローバル化とITを無視して語ることはできなくなりました。

松井さんはグローバル化を「人とカネと情報が世界をぐるんぐるん行き交うこと」と定義し、今後、人々が仕事や教育を求めて移住する姿は当たり前になっていくだろうと予測します。

マレーシアにいると実感しますが、すでにいろんな人がいろんな事情で「ぐるんぐるんして」ます。

中東やロシアから教育を求めてくる人がいます。中国から大挙して学びにくる人たちがいます。逆にマレーシアで教育を受けたあと、留学して米国やオーストラリア、シンガポールで働く人も嫌というほどいます。日本とマレーシアを行き来しながら仕事している人、私の周りにやたら増えています。オフショアに会社作った人もいます。私もぐるんぐるんしようと思ってます。

松井さんご自身も米国で会社を経営しながら、日本の出版社から本を出し、フィリピンでも事業を起こしています。

グローバル化は、好む好まざるに関わらず、個人レベルでも確実に進んでいます。

ここがポイントで、人々が安いコストや効率を求めて国を移動していく流れは、もう止められないということです。

グローバル化が進行していくと、どういうことが起きるのか。それが本書で語られる第一のポイント。

未来を知るための、もう1つのキーワードがITの進化です。

シリコンバレーに住む松井さん、興味深い技術に注目されています。

3Dプリンタやビックデータ、クラウド、人工知能、ウエアラブルコンピュータ――。聞いたことはあっても、それで具体的に何が起きるのかを教えてくれます。

自動運転する車とか、ビックデータによって犯罪を予測することができるとか、すでに米国で実用がはじまっています。うーむ、正直、ここまで来ているのか!と驚きます。

そしてそして、最後に、この世界を生き抜くためにどうしたらいいのか、松井さんなりの回答があります。

これ、講演の質疑応答に当たる部分なのですが、どんな仕事をすればいいのか。子どもはどう教育すべきかなどについて、質問に答えています。

実はここが一番面白かった。

なかでも「教養とは?」という部分が印象に残りました。

「教養とは、世界を理解する力のことです。教養がないと、自分の身の回りに起きているさまざまなことを、すごい狭い視野で「これはこうだ!」って決めつけてしまう。でもいろんな視点を持つことで、いや、これはこういう見方もできる、ああいう見方もできるというように物事を多面的に見ることができる
」(本書より)
 
外国で生活するもっとも良いことの一つが「さまざまな視点を持てること」ではないでしょうか。

自分を開いて、決めつけないこと。

自身も肝に命じようと思います。

値段も400円程度と手頃で、電子版ですぐ読めます。
松井さんは文章も上手いけど話も面白いので、読んでいて気持ちいいですよ。

この本が面白かった人は是非、決してバラ色ではないグローバル化がもたらす戦慄の未来を描いた「起業が『帝国化』する」(アスキー新書)もお読みください。私が編集しました。

以下は松井さんの出世作。ダメダメ起業だったアップルをジョブズがどう変えていったのか? 松井さんはジョブズの凄さは「アップルという環境を作ったこと」にあると言います。環境が人に与える影響とは? 私が編集しました。

僕がアップルで学んだこと 環境を整えれば人が変わる、組織が変わる (アスキー新書)

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投稿日:2014/12/13  Posted in 書評, 未来へのヒント

東洋経済の記事を更新しました。

インターナショナルスクールの「松・竹・梅」 学費の高い or 安いはどう違うのか

今回はインターナショナルスクールのお金のお話です。

最近、取材するたびに「多くの日本人にとって学費が一番問題となっている」という話が出てきます。
インフレが進行し、円安が加速する中、もはや、日本はお金持ちの国ではなくなりつつあるようです。

マレーシアに住んでいると、ときに現地の中流層の皆さんの豊かな生活に圧倒されます。

私が初めて来た1990年代でも、私の友達は、毎年海外旅行し、コンドミニアムに投資していました。現在はその流れが加速しつつあります。彼らは、以前日本に来ると、「物価が高い」と言って節約していましたが、いまや10万円単位で買い物を楽しんでいるようです。

日本から来る日本人も、当初は自分はお金持ちの国から来た、と思ってくるのですが、しばらく住んで、インターナショナルスクール(中流階級以上の層が多いです)に子どもを入れたりすると、周りの豊かさにビックリするようです。

私も以前、レストランを借りきり、寿司職人やピエロを呼んだ派手な誕生日パーティーに招かれ、一緒に来ていた韓国人の友達と、「私たちって質素だね」と笑ったことがあります。

もっとお金持ちの学校になると、ホテルのレストランを貸し切ったり、気球を飛ばしたりしているようです。

私の周りの中間層の皆さんでも、子どもを年百万円クラスのインターナショナルスクールに入れ、将来は欧米へ留学させるのはごくごく普通。

ベンツや日本車などの車を数台所有し、まるで日本のバブル時代のように、毎日外食にお金を使います。

家にメイドさんがいて、海外旅行年に数回は当たり前に行きますし、日本にもバンバン旅行してます。私の友達、今年だけで、台湾、韓国、アメリカ、オーストラリア、日本と楽しんでいます。

彼らは普通にコンドミニアムやリンクハウスに住んでいるような人たちで、決して超お金持ちというわけではなさそうです。自営業の人が多く、また将来が不安だから貯金しているという話はあまり聞きません。

私自身も、ここのところローカルの友達から豪華なレストランでもてなしを受けたり、高級バティクをプレゼントしていただいたり、忸怩たるものがあります。
気前のいい人が多く、こちらも釣られて気が大きくなります。

一方で日本では所有から共有への価値観の転換が生まれ、シェアハウスやカーシェアリングに見られるように、ものを所有しないというのがトレンドになってきています。

これはこれで、素敵なことではないかと私は思います。人生の荷物は少ないほうがいいというのが私の実感です。

でも気前のいいマレーシア人たちと付き合うのも、それはそれで楽しい。

さてマレーシア人にも、いずれシェアがいいという人が現れるようになるのでしょうか。

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投稿日:2014/12/07  Posted in なにかと楽しいマレーシア, 学校, 教育